石がかたる3つのストーリー

石に現れた日本人の美と信仰

平泉寺白山神社にある旧玄成院庭園(勝山市)

石が物語る、華やぎと祈り

一乗谷の西山光照寺跡の石仏(福井市)

越前に残る中世・近世の庭園では、石の配置や造形の特徴をうまく取り入れ美的景観を作り出している例が数多く見られます。現在の平泉寺白山神社の社務所奥にある旧玄成院庭園は、北陸に現存する庭園では最も古い1530年代に作られたものと推定されており国名勝に指定。枯池の周囲に石を巧みに配置した枯山水の庭です。

また一乗谷朝倉氏遺跡では、4つの庭園が国の特別名勝に指定されています。滝石組に巨石を配した庭園や、石組の庭、平庭、枯山水などと、それぞれが個性に富み、当時京都で流行していた作庭の様式を取り入れるなど、一乗谷の文化の華やかさを物語ります。

江戸時代につくられた福井藩主松平家別邸の「養浩館庭園」は、柱状節理の岩柱や、池の岸辺に配された県内外各地の名石のほか、笏谷石を効果的に使い、池を中心にした大名庭園に個性を添えています。

人々の祈りや鎮魂の思いを表すのが石仏や石塔です。一乗谷朝倉氏遺跡では、全国で例のない数である6000を超える石仏や石塔が見られ、ほとんどが笏谷石製です。平泉寺白山神社にも、石造りの泰澄大師廟や楠木正成の墓、無数の石仏などが歴史と信仰の深さを感じさせます。

構成文化財